「本当の名医」はほとんど存在しない
「名医」と聞いて、どのような医師を想像しますか?
広辞苑では
名高い医者・すぐれた医師
となっています。
結構ざっくりですね(笑)
患者からの評価では
- ・難しい手術を成功させることのできる医師
- ・少ない検査で正確に病名を診断できる医師
- ・患者に優しく寄り添って親身になってくれる医師
- ・経験豊富な医師
というような医師が名医の代表例になるのでしょう。
確かにこのような医師は名医かもしれません。
他にも人によって、様々な名医像があると思います。
最終的には患者が名医だと感じたら、その患者にとっては名医です。
しかしここでは、あえて「本当の名医」とはどんな医師なのかを断定します。
「本当の名医」とは
「病気を防ぐことのできる(健康を維持させられる)医師」
です。
どのような医師でも、「病気を防ぐことのできる(健康を維持させられる)医師」よりも価値のある医師は存在しません。
当たり前のことですが、誰にとっても「病気にならずに健康を維持すること」の方が「病気になって治療して健康に戻ること」より価値がありますよね。
そもそも医療の本質は、健康の維持です。
ただし当然ではありますが、実際に病気を防ぎ健康を維持させることを完全に達成できる医師は存在しません。
正確に言えば、それを第一の目標にして最善を尽くしている医師が「本当の名医」です。
しかし残念ながら「本当の名医」はわずかしかいません。
これは医師だけでなく患者や制度の責任でもあります。
- ・「病気を防ぎ健康を維持させることに最善を尽くす」というのはどういうことなのか
- ・なぜ「本当の名医」はわずかしかいないのか
これらについて説明していきます。
<病気を防ぎ健康を維持させる>
病気を防ぎ健康を維持させることこそが、医療の本質です。
どういうことなのか具体的な例を見ていきましょう。
~例①~
健康診断で血圧・血糖値が高いことを指摘され病院を受診
日本の高血圧の基準はそもそもおかしいということがあるのですが、それはここでは置いておきます。
血圧が高ければ高血圧、血糖値が高くなれば糖尿病になってしまう可能性があります。
そのため血圧や血糖値を下げる必要があります。
そのために血圧を下げる薬や血糖値を下げる薬を処方されて、服用するイメージがあるのではないでしょうか。
しかし果たしてそれで高血圧や糖尿病という病気を防ぎ、健康を維持できるでしょうか。
答えは「NO」です。
薬で出来ることは、一時的に血圧や血糖値を下げることです。
薬に頼るということは、一生毎日薬を飲み続けなくてはなりません。
根本的な改善には全くなっていないのです。
根本的な改善をするには、食生活や運動習慣といった生活習慣の改善が必要です。
大半の場合、生活習慣の改善で高血圧や糖尿病などを防ぐことが出来ます。
もちろん薬を飲む必要もありません。
つまりこのケースで「病気を防ぎ健康を維持させることに最善を尽くす」ということは
- 食生活や運動習慣などの生活習慣の改善の必要を伝える
- その具体的な方法を指示する
- 多くの場合、薬は処方しない
- その後の経過を追っていく
ということになります。
診察は処置や処方をせず、指導して終わりますね。
~例②~
風邪の症状で受診
微熱・咳・鼻水の症状あり
熱・咳・鼻水などの症状は、体の免疫がウィルスや細菌と戦っている証拠です。
熱を下げてしまうと免疫力は下がってしまいます。
咳や鼻水を止めるとウィルスや細菌を外に出そうとする防御システムを阻害してしまいます。
風邪の症状を薬で抑えることを繰り返していると、長期的には免疫力を低下させることになりかねません。
また風邪に対して抗生物質が処方されることが多いのですが、これはほぼ無意味どころかマイナスです。
そもそも風邪のほとんどはウィルス感染です。
しかし抗生物質は細菌には効きますが、ウィルスには効果はありません。
さらに、抗生物質を飲みすぎると細菌に耐性がついて効かなくなってしまいます。
つまりこのケースで「病気を防ぎ健康を維持させることに最善を尽くす」ということは
- 良く水分をとって睡眠をとることを指示する
- とんでもない高熱などの場合を除き、薬は処方しない
これだけです(笑)
つまり医師が本当に行うべきは、対症療法ではなく患者に健康を維持する方法を教えることです。
先天的な病気などを除いたほとんどの場合、健康は自分自身の生活習慣などから守るものです。
病院に通うことは健康を得ることにはならないのです。
健康とは与えられるものではなく、自分で得るものであることを患者に学ばせることが医師の役目です。
しかし、このような本当の役目を果たせる「本当の名医」はわずかしかいません。
<「本当の名医」がわずかしかいない理由>
「本当の名医」がわずかしかいない理由は大きく分けて以下の二つです。
- ・患者サイドの問題
- ・医師サイドの問題
患者サイドの問題
例①や例②のように医師が処方も処置もせずに指導だけして診察を終了したら、皆さんどう感じますか?
大抵の場合、患者の評価は「ヤブ医者」です。
実際には最も患者のことを考えてくれている「本当の名医」にも拘らず、患者の評価は「ヤブ医者」なのです。
日本人は特に病院依存が強いです。
そして薬が大好きなことでも有名です。
医師が患者のためを考えて健康を維持する方法を伝えることは、患者は求めていないのです。
正しいことをしたら「ヤブ医者」に認定され、望み通り無駄な薬を出したら「良い医者」と言われるわけです。
「本当の名医」でいることは、とても困難なのです。
医師サイドの問題
医師は「ヤブ医者」認定を避けるためだけに、「本当の名医」から遠ざかっているわけではありません。
これは制度の問題でもありますが、日本の保険制度では投薬も含めた処置を行わないと報酬が発生しません。
指導をして健康な人が増えてしまうと、収入源がなくなってしまうのです。
つまり、医師としての本分よりもお金を優先しているということですね。
医師が医療者というよりも、経営者としての面が強くなってしまっているのです。
<まとめ>
このように残念ながら、多くの患者や医師は「医療の本質」とは程遠い行動をとっています。
医師は医師としての本分を見つめ直し、患者は正しい知識を得ることで「本当の名医」に正当な評価をしなくてはなりません。
そうでなければ医療はどんどんただのビジネスになっていってしまいます。
この記事を読んで少しでも「本当の名医」「医療の本質」「健康の維持」などについて、本質的に考えてもらえれば幸いです。
正しい医療が広まって、誰もが健康に過ごせる世の中になることが、豊かな人生を送る土台を作ることに繋がります。