【親御さんへ】安心と安全は違います

教育 社会

日本人は「安全第一」という言葉が大好きです。

安全第一信仰と言ってもいいくらいです。

もちろん工事現場などのように、何か起こってしまった場合に命に関わるようなところでは安全第一が必須なのは間違いありませんよね。

しかし安全第一は、全ての場合において良いこととは限りません。

むしろ安全第一信仰は害になることもあります

特に子育てや教育に関しては、完全に害になってしまっています。

これは安全が大切でないというわけでは決してありません。

「安全第一」を求めているつもりが、「安心第一」を求めてしまっていることが問題なのです。

言ってみれば「安心第一信仰」が蔓延しているわけです。

求めているのは子どもの安全ではなく親の安心

ここ最近、公園などでの禁止事項が本当に増えました

花火禁止はもちろん、自転車禁止、ボール遊び禁止などなどです。

さらにひどいところになると、遊具はケガが危ないという住民のクレームなどで使用禁止になったり撤去されたりしている所すらあります。

もちろん目的は

「子供たちの安全のため」

と親を含めた大人たちは考えているでしょう。

でも本当にそうでしょうか?

そのような大人たちは「子どもの安全」を本当の意味で考えてみたことはあるのでしょうか。

「子どもの安全」を大義名分として、親を含めた大人たちは「自分の安心」を得ようとしているのではないでしょうか。

子ども

親・大人

遊具などでの遊び

ケガする可能性あり

不安・心配

遊具の禁止・撤去

ケガする可能性なし

安心

このように言うと、

「親や大人が安心するということは子どもがケガなどをする可能性がないということだから、子どもの安全につながる」

という人が大勢います。

それこそが間違いです

確かに遊具などを禁止したり撤去したりすれば、その時はケガをする可能性は無くなるでしょう。

しかしそれは子どもにとっての安全とは全く違うものです。

子どもを危険からひたすら遠ざけることは、子どもの安全とは違うのです。

安全とは危険を理解すること

そもそも生きていく上で、100%の安全なんてものは存在しません。

ゼロリスクにすることは不可能です

全ての危険を避けて生きていくことはできません。

大切なのは、取り返しのつかないようなダメージを受けないことです。

そのために必要なことは、危険のレベルなどを理解するということです。

「ここから先は本当に危ない」

「これ以上はリスクが高すぎる」

「ここまでなら最悪のことが起こっても何とかなる」

などを判断できることが重要です。

子ども

親・大人

遊具などでの遊び

ケガする可能性あり

不安・心配

経験・学び

遊具の禁止・撤去

ケガする可能性なし

安心

そしてそのように判断する力は、ケガなどの失敗などをした経験から学びを得ることで培われていきます。

逆に遊具を禁止・撤去したりして子供を危険から遠ざけることは、経験や学びを得る機会を奪っていることに他ならないのです。

ひたすら危険から子供を遠ざけることはその時は安全かもしれませんが、長い目で見たらどうでしょうか。

親や大人の目の届く範囲でしか行動していないような年齢なら大丈夫かもしれません。

しかし成長していけば、大人の目の届かない範囲の行動が増えていきますよね。

そしてそこでは自分自身で危険を察知し判断しなくてはいけません。

これは社会に出ても同じですよね。

誰もが自分で判断して行動するようになっていきます。

その時の土台になるものは、失敗などから得た経験・学びです。

子どもに経験・学びを与えることこそが、大人の役割なんです。

安全に近づける方法

失敗などからの経験・学びを子どもたちに与えることに加えて、致命的なダメージを負いかねないような危険から子供たちを守ることも大人の役割です。

要は致命的なものからは守りつつ、致命的にならないような危険などは積極的に子供に経験させるべきなのです。

そのラインを大人は引かなくてはならないのですが、ライン引きの場所があまりにおかしいわけです。

それは経験させるべきというところまで回避領域にしてしまっているんですよね。

本来のライン

経験すべき領域

回避すべき領域

多くの親や大人の設定ライン

経験すべき領域

回避すべき領域

子どもたちは小さな危険を経験し学んだ結果、大きな危険から受けるダメージなどを想像します。

この想像力が大切なのです。

実際に経験したものだけでなく、小さな危険の経験から大きな危険の想像をすることができるのです。

つまりある程度の危険を経験させることこそが、大きな危険を避けて安全に近づくための方法です。

親御さんはぜひ、子どもたちに色々な失敗をさせてあげてほしいと思います。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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