夕張市から学ぶべきこと

夕張市から学ぶべきこと

夕張市と認知症

夕張市における認知症患者に対しての関わり方もとても興味深いものがあります。

日本での認知症患者は2025年には700万人を突破するといわれ、65歳以上の5人に1人が認知症患者になるといわれています。

認知症は世界中で今後の最大の問題の一つともされており、その中でも他の国に先行して世界一の高齢化社会に突入していく日本がどのように認知症問題を解決していくのか注目されています。

認知症患者に対しては誰もが介護のイメージが強いのではないでしょうか?

自宅だと家族が疲弊して厳しいし徘徊の心配もあるので、介護施設で面倒を見てもらうというパターンは多いと思います。しかし認知症は環境や景色が変わると悪化するとも言われており、自宅から施設に移ったりすると悪化する場合が多いようです。とは言っても独り身の方や家族が介護しきれない場合は介護施設にお願いするしかないのが現状だと思います。

しかし、夕張市では認知症患者が最期まで一人で生活をして人生を全うするようなケースが多々あったそうです。

100歳超えて重度認知症の方が毎日一人で畑仕事をしていたり、80歳代の重度認知症の方が自分の家の前だけでなく周りの家の前なども、せっせと雪かきをしていたりということが見られたそうです。

施設やデイサービスなどにいても得られない社会的役割を認知症になっても続けていくことは本人にとっても幸せでしょうし周りの人との繋がりを維持することにもつながるのだと思います。

徘徊についても夕張市は近所の人はみんな知り合いというようなコミュニティーなので、徘徊中に誰か知り合いに会って立ち話をすると当初の目的を忘れて家に帰るようなことになるそうです。

収容して監視するのではなく、地域全体でなんとなく見守るというようなイメージですね。

もちろん徘徊して必ず近所の人に会うとも限りませんので、転んで怪我したり川に落ちて転落死ということもあるそうで、それを理由に施設に入る人もいるようですが、収容されて監視されるよりも最期まで自分の好きに生きて何かあったときは天命として受け入れるという考えをする人やその家族が多くいたようです。

何を選択するかは個人の自由ですが、認知症になっても最期まで地域社会の一員として好きに生きていくという選択をできるような地域の繋がりが夕張市にはあったのです。

夕張市は医療崩壊をきっかけとして自律をもって自立を目指し、それぞれが自分の健康を自分で守る意識を持ち死生観の変化が起こりました。

これらは個人個人のことに留まらず地域全体で認知症患者や高齢者を最期まで見守るという地域全体で医療を行うということに広がっていったのではないのでしょうか。

地域全体でお互いが助け合って見守りあいながら、自分の身体は自分で守る意識で病院外医療を行う。 これこそが夕張市民の教えてくれたことなのではないかと思います。

固定ページ: 1 2 3