今後の医療の進むべき道

今後の医療の進むべき道

今後の医療の在り方はこれまでの病院に依存した医療から脱して、病院外医療を主として「健康を維持する」「病気にならない」という医療の本質に向かっていくことが必要だと思います。

そのために制度・医療従事者側・患者側すべて変わっていかなければならないと思います。

国民皆保険制度は、治療より予防を行うために使えるようにシフトするべきだと思います。

現在の治療には適用され予防には適用されない制度ではなく、それを逆にして予防に適用され治療には条件付きで適用、かつ部分的に負担割合を引き上げていくなどの修正の必要があると思います。

先天的な疾患やⅠ型糖尿病のように仕方のない疾患、感染症などの急性疾患などに対しての負担割合は引き上げないようにしながら、生活習慣病などの慢性疾患に対しては負担割合を引き上げたり、場合によっては全額自己負担も選択肢に入れてもいいかもしれません。

また、日ごろの食事や運動や喫煙などの生活習慣も評価対象にして負担割合に加味出来たら更に良いと思います。

医療従事者側は基幹病院を地域の中心に置き、クリニックは基幹病院との密な提携が必須であると思います。クリニックを基幹病院の出張所のような位置づけにすることで家庭医のような役割を担い、かつクリニックの数は圧倒的に減らしていかなくてはならないと思います。

現在患者の奪い合いが起こっていることで過剰医療が常態化しています。

医療行為と関係のない、宣伝や豪華な内装などにより差別化を図りそのコストを回収するために経営的な患者の奪い合いが起こる。その結果過剰医療になっている流れです。

個人的には医療のようなインフラに近い業種に自由競争主義は不向きだと思っています。

自由競争を完全になくしてしまうのもリスクが高いとは思いますが、病院やクリニックはある程度公的な機関にすることで経営的な競争を抑え、病院内医療を縮小して医療費を抑えていく必要があると思います。

そして医療行為だけでなく医療従事者の人間性の質の向上のために教育を充実させなくてはなりません。

地域の病院やクリニックなどから大学病院などの教育機関にお金を流し、そのお金を使って充実した教育をし、一人前になった人材を逆に病院やクリニックに流すという双方向の流れを作っていくべきだと思います。

医療は国民の健康の礎です。各々の病院やクリニックで利益を出すことを考えるのではなく、社会全体で医療が維持されるためには従来の個人主義から部分的に全体主義も取り入れるという移行をしていく必要があるのではないでしょうか。

患者側は自分の健康は自分で守るという意識を持ち、病院内医療への依存から脱却し生活習慣を自律することで自立していかなくてはならないという自覚を持たなくてはならないと思います。 そのためにも制度面での制限なども必要不可欠であると思います。

老人から子供まで

このような様々な変化は医療従事者にも患者にも痛みを伴いますが、少しずつ変わっていかなくてはならないのではないでしょうか?

病院内医療を縮小し、自分自身で行う生活習慣の改善による予防という病院外医療への舵取りをしなくてはならない時期に来ています。

医療とは本来的には医療従事者のみが行うものではなく、国民一人一人が病気にならないようにすることも医療です。

病気になってからの医療ではなく病気にならないための医療を実践することで健康寿命も伸ばすことができるはずです。

健康な高齢者が増えれば高齢者にも社会的に貢献できる役割を担ってもらうこともできます。認知症患者数も抑制することができるのではないでしょうか。

地域全体でこのような病院外医療に取り組むことでそれを一つの地域文化とし、地域全体で世代を超えた繋がりを形成することができるのではないかと思います。

繋がりのある地域社会を形成することで今後最も重要になる介護分野も在宅や施設で家族と介護士などのみが支えるではなく、近所の人をはじめ地域社会全体で支えることはできないでしょうか。

また、繋がりのある地域社会になれば子供を地域全体で大切に育んでいくこともできると思います。

保育所などを増やせというのも最もではありますが、例えば健康な高齢者など子育てを経験した人たちなどが子育ての見守りやサポートに参加することで母親の負担も減らすこともできるだけじゃなく、虐待防止などにも効果があるのではないかと思います。

健康を維持する

医療に限りませんが、個人個人が自分の権利を主張するばかりでは数多の問題は解決しません。

各々が責任を持ちながらできることを一つずつできることを行う必要があります。

私たちは生きていく上で一人では生きていくことはできません。

社会に生かされていることを忘れてはいけません。恩恵を受けるということは責任をもって義務を果たしていかなくてはならないということです。

私たちがこれからをどのような意識で生きていくのかは未来の世代に直結します。

どのように生きてどのように最期を迎えるのか、そして社会にどう関わって未来に繋げていくのか。正面から向き合う必要があります。

一人一人ができること、やらなくてはならないことは数多くあります。

一人一人の意識と行動で未来はより良くできるはずです。

依存から自立へ。 まず一歩を踏み出しましょう。