もはや国家をあげた集団パニックだとも言っていいコロナ騒動ですが、数えきれないほどの思考停止の行動が溢れています。
事実を無視した感情的な行動などばかりです。
集団ヒステリーとでも言えばいいのでしょうか。
その中で
「最前線で命を懸けて戦っている医療従事者に感謝を!!」
というようなムーブメントのようなものが広がっていますね。
自衛隊のブルーインパルスを飛ばしてみたり、色々なところでライトアップしたり。
意味不明です。
私も医療従事者の一人ですが、このムーブメントのようなものは意味不明でしかありません。なにかしらの意図を感じざるを得ませんね。
世論をそのような方向に向けたいのでしょうね。
前提として、海外もそのようなムーブメントはありますが、国によってそもそもの文化も違うでしょうから、日本についてのみ書きます。
また、医療従事者に対して感謝をすることが悪いと言っているわけではありません。
仮に患者の立場で、医療従事者にお世話になったと感じたら感謝をするのは人として当たり前です。
そしてそれは医療従事者に限らず、飲食業でも、建設業でも、農業でも、漁業でもなんでも同じですよね。
そのような個人的な感謝はどんどんしたらいい。
そうでなくて、国が飛行機飛ばしたりメディアが必要以上にあおったり、公的な機関やそれに近い組織などが
「最前線で命を懸けて戦っている医療従事者に感謝を!!」
というあまりに的外れなことを言って、世の中に刷り込んでいるのはおかしい、ということです。
一種の洗脳ですね。
では、何がおかしいのか考えていきましょう。
<どこが命がけ?>
医療従事者がコロナ患者の対応をするのは命がけだと言わんばかりですが、一体どのあたりが命がけなのでしょうか?
日本において、コロナでの30代・40代・50代の死者はほとんどいません。
これは意見ではなく、誰もが知っている事実ですね。
そして医療従事者で臨床現場に立って、患者の診療をしているほとんどは30代~50代です。
もちろん60代以上の医療従事者もいますから、確かにその方たちは気を付けたり、さらに高齢の医療従事者などは現場に出ないようにした方がいいかもしれません。
しかし、いわゆる労働世代の中心である30代・40代・50代などの医療従事者は、命を懸けていません。
命を懸けていないというのは、決して医療従事者が真面目に診療していないとか、そういうことを言っているわけではありません。
感染症の患者を診療すれば、感染するリスクは上がるかもしれません。
しかし、コロナにおける医療従事者の命の危険は、事実として、大半の現役労働世代においては0に近いのです。
そしてどんな感染症だとしても0にはなりません。
要は、大半の現役労働世代の医療従事者が、仮に命を懸けてコロナ患者と向き合いたいと思ったとしても、結果として命がけにはなりません。
これは単なる事実です。
それなのにメディアなどは、医療従事者が命がけで戦っているという嘘を報道しまくります。
そのせいで、医療現場が医療従事者の命も常に危険に晒されているような凄惨な場所であるような一種の洗脳を進めていくわけです。
意味不明じゃないですか?
まったくもって理屈に合いません。
<リスクは誰でも同じ>
SNS上での看護師などの医療従事者による発信などがメディアなどでも取り上げられました。
「私たちは危険な状態の中、戦っているのに自粛しないで活動している人たちに対して怒りを覚える」
というような内容の投稿が多くあったようですね。
これらの投稿が、本当に医療従事者からなのか、世論操作のためのものなのかはわかりませんが、意味不明で非常に程度の低い投稿です。
もしこれらの投稿を本当に医療従事者がしているとしたら、その人は医療従事者を辞めたほうがいいと思います。
もちろん他人がどうこう言える問題ではありませんが、少なくとも医療従事者として必要な知識や心構えが足りていないのは明白です。
まず、先述したように大半の現役労働世代の医療従事者にとっては、命の危険があるような状況ではありません。
少なくともこれは事実であり、医療従事者である限りこの事実を無視して感情論で仕事に向き合っては、まともな医療を提供することなどできません。
良いことも悪いことも、事実や理論や知識に基づいて医療を提供することが、医療従事者の責務です。
感情はその上にほんの少し乗ってくるものです。
患者でなく医療従事者である限り、感情によって仕事内容が左右されては、提供する医療の質は担保できません。
次に、命の危険ではなく感染リスクのことを、「危険な状態」と言っていたとしたら、完全に医療に携わる資格はありません。
医療従事者は、確かに他の職種の人よりも感染リスクは高くなりやすいです。
しかしながら、どんな仕事にもリスクはあります。
建設現場の職人、漁業の船乗り、警察官・消防士、林業の人などなど、命の危険もあるような仕事も多数あります。
誰もがそれぞれのリスクの中で仕事をしています。
リスクのある中で、最良の成果を出すことを求められるわけです。
だからこそ、その分野において知識と経験を兼ね備えた専門家であるプロたちが存在するわけです。
医療においては当然それが、医師であり看護師であり、医療従事者なのです。
ですから当然ですが、医療従事者である以上、その程度のリスクがあることなど覚悟しているべきです。
そして少しでも感染というリスクを下げるための知識は、当たり前のように持っているべきなのです。
仮に感染経路が全く分からず感染確率も高く、しかも致死率も高いような場合は、医療従事者であっても打つ手はなく恐怖も感じるでしょう。
それでも、その状況だとしても感染症と戦えるのは医師をはじめとする医療従事者のみです。
そのような状態でも最前線で戦っている医療従事者に対しては
「最前線で命を懸けて戦っている医療従事者に感謝を!!」
となって然るべきかと思います。
しかし日本におけるコロナはどうですか?
感染経路は主に飛沫感染と接触感染と分かっていて、現役労働世代の致死率は0に近い。
これで
「最前線で命を懸けて戦っている医療従事者に感謝を!!」
となる方がどうかしていませんか?
意味不明です。
むしろ怖い怖いなどと言っている医療従事者がおかしいのです。
感謝をするのは悪い事ではありませんが、このように明らかに理屈に合わないことがムーブメントのように作られるのは、何かしらの意図が働いているとしか考えられませんね。
この意味不明なムーブメントを作ることで、誰が得をするのかを考えてみてくださいね。
<本当に戦っている医療従事者>
最後に、コロナ騒動とは関係はありませんが、本当に命がけで戦っている医療従事者のことを知ってもらいたいと思います。
コロナによって作られた命がけではなく、常日頃から自分自身を犠牲にして命がけで戦っている医療従事者はたくさんいます。
海外の紛争地域などで医療活動している医療従事者はもちろんそうですが、今回は日本の中での話にします。
地方で地域医療を担っている基幹病院(市民病院など地域の中核になる病院)の医師たちは、それこそ命がけです。
もちろん地方の基幹病院の医師全てというわけではありませんが、少なからず想像を超えるような環境で地域医療を支えている医師たちがいるのは事実です。
地方には医師を含めて医療従事者は、常に人手不足です。
地理的要因もありますし、経営的要因もあります。
そして地方は日本の中でも特に高齢化が進んでいる地域も多く、自分での予防的概念も低いところも多いのです。
結果患者は、生活習慣の見直しなどは怠りがちにも拘らず、何かあったらとりあえず病院に行くというスタンスが根強く残っています。
そのような状況の中、医療側のマンパワーは、常時絶対的に不足しているのです。
週に1回家に帰れればいい方だったり、一日に細切れに仮眠を数回取れるだけだったりなども当たり前のようです。
一般的な職業の残業時間は法的にどのくらいか知っている人も多いと思います。
月に45時間、年に360時間が上限です。
過労死が危ないと言われる過労死ラインは年に900時間と言われています。
では、このような地域医療を担うような医師の法的な残業時間の上限はご存じですか?
1850時間です。
過労死ラインの2倍以上です。
世の中、ブラック企業だと騒いだりしていますが、このような医師たちの超ブラックな環境を作っているのは誰だかわかりますか?
国の責任もありますが、患者自身でもあるのです。
実際にこのような医師の年間の残業時間は2000時間を超えることも普通にあります。
いつ死んでもおかしくないですよね。
それでも地域医療を支えるために、自分の時間や権利を全て放棄して、それこそ命がけで戦っているのです。
しかしそれに甘えていていいのでしょうか。
いつかは必ず破綻します。
コロナ騒ぎに乗じたくだらないムーブメントなんかよりも、このような事実をしっかり知ってもらいたいと思います。
そして現状を改善するためにも、誰もが考えてもらいたいと心から願います。