結論を言ってしまうと、貯蓄型保険はすべて加入するべきではありませんということになりますが、そもそも貯蓄型保険とはどのようなものなのでしょうか。
<貯蓄型保険とは>
貯蓄型保険とは何かしらの保障に加えて「解約時や満期時に、お金が返ってくる保険」のことを言います。
反対が掛け捨て保険になりますね。
貯蓄型保健
貯蓄型保険の中には、様々なものがあります。
終身保険、ドル建て終身保険、個人年金保険、養老保険、学資保険などが代表的なものですが、他にも多数あります。
ただし、どれも結局は加入しないほうがいいものであることには変わりありません。
見せ方を変えているだけで、実質的な中身は同じです。
返ってくる金額はまちまちですが、例えば満期までの30年間保険料を納めたとすると、20年までに解約してしまうと元本割れしますが、満期になると元本の115%の金額になって返ってくるようなイメージです。(115はいい方だと思います。)
<貯蓄型保険に加入しないほうがいい理由>
貯蓄型保険に加入しないほうがいい理由として以下のものがあります。
- 1. 中身はめちゃくちゃ手数料の高い投資信託
- 2. 資産運用効率が悪い
- 3. 解約時元本割れ期間が長い
- 4. インフレリスクがある
それぞれ説明していきます。
~1.中身はめちゃくちゃ手数料の高い投資信託~
簡単に言ってしまえば貯蓄型保険は、手数料のめちゃくちゃ高い投資信託と同じです。
合法的詐欺と言っていい代物です。
保険会社は加入者から集めた保険料から、利益や経費である手数料を抜きます。
そして残った保険料を投資にまわしています。
投資は怖いから保険でお金を増やしたいという人が貯蓄型保険加入者には多いですが、貯蓄型保険に入るということは間接的に投資をしているということになります。
考えてみてください。
保険会社を通して、ガッポリ高い手数料を取られて投資しているわけです。
保険会社を通さず、直接投資した方がいいと思いませんか?
手数料はとにかく高いです。
手数料の程度はものにもよりますが、次の資産運用効率について見ていくところで試算してみましょう。
~2.資産運用効率が悪い~
では毎月2万円を30年間継続して保険料を支払い、満期での返戻率(元本に対して返ってくる金額の割合)を115%に設定して試算してみましょう。
(ちなみに115%というのは結構高い方で、105%以下のものもあります。)
毎月入金額 | 入金総額 | 返戻率 | 満期金額 | 利益 |
---|---|---|---|---|
2万円 | 720万円 | 115% | 828万円 | 108万円 |
いかがでしょうか?
毎月2万円ずつ払って保障もついて30年間で108万円の利益なら、なかなか悪くないと思いますか?
では30年後に返戻率が115%というのは年率にするとどの位でしょうか。
さらに年率3%、5%、7%で運用した場合と比べてみましょう。
年率 | 毎月入金額 | 入金総額 | 返戻率 (30年後リターン) |
返戻率 (30年後資産総額) |
利益 | |
貯蓄型保健 | 0.9% | 2万円 | 720万円 | 115% | 828万円 | 108万円 |
年率3%運用 | 3% | 2万円 | 720万円 | 162% | 1165万円 | 445万円 |
年率5%運用 | 5% | 2万円 | 720万円 | 231% | 1665万円 | 945万円 |
年率7%運用 | 7% | 2万円 | 720万円 | 339% | 2440万円 | 1720万円 |
非常に大きな差が出ているのがわかりますね。
貯蓄型保険の返戻率115%というのは年利にすると0.9%になってしまいます。
債券などの手堅い投資で運用したとしたら、年利3%平均位になります。
仮に3%で保険会社が運用していたとしても、2%程度の手数料をもっていっている計算になります。
投資の知識がある人であれば、手数料が2%というのがどれだけ高いのかわかると思います。
ちなみに、株式に投資したとした場合、全世界株式の平均リターンは5%程度、アメリカのS&P500の平均リターンは7%程度です。
そして株式投資は15年以上の長期で保有した場合、これまでの歴史においてマイナスリターンになることは1度もなかったのです。
30年という期間を考えれば、平均のリターンに近づく可能性が非常に高くなります。
ただし投資に絶対はありませんので、未来がどうなるのかということについてはわかりません。
~3.解約時元本割れの期間が長い~
でもやっぱり投資は怖いし預金だと全然増えないから、預金より利率が高くて元本保証の貯蓄型保険がいいという人もいるかもしれません。
しかし、そもそも貯蓄型保険は20年位元本割れの期間があることを忘れてはいけません。
年利0.9%というのはあくまで30年の平均です。
20年くらい経つまでは元本割れの期間があります。
当然預金はいつ引き出してもマイナスになることはありません。
つまり貯蓄型保険は、20年以上経った後に初めて預金よりもリターンが大きくなるということです。
20年間という資金拘束は非常に大きな足かせです。
~4.インフレリスクがある~
平成のデフレ不況の日本は例外的ですが、基本的に世の中はインフレ傾向にあります。
インフレになると物価が上昇します。 物価が上昇するということは、お金の価値が下がるということです。
2%のインフレが起こるということは、おおよそ2%お金の価値が下がるということです。
つまり年利0.9%でお金が増えたとしても、実質的にはお金は減っていることと同義です。
これは預金の場合も同様のことが言えます。
<貯蓄型保険に加入してしまっている場合>
貯蓄型保険に既に加入してしまっている人は、元本割れの期間に解約するのは損だからなんとか元本が割れないところまで加入を続けることを考えがちです。
損をしたくないという心理ですね。
しかし残念ながら、貯蓄型保険に加入してしまった時点で既に損をしてしまっているのです。
損確定です。
だったら損をできるだけ小さく済ませることを考えてください。
貯蓄型保険に加入している期間が長ければ長いほど、損が大きくなると考えてください。
そしてできるだけ早く解約して損切りしましょう。
それが最善の選択肢です。
<まとめ>
保険の本来の役割は「起こる確率は低いけれど、いざ起こってしまうと、どうしようもなくなってしまうものに対して備える」ということです。
貯蓄型保険のように、投資の機能を持たせることは保険の役割ではありません。
基本的に、保険と投資は分けて考えましょう。
保険はいざという時の備えです。
投資は将来リターンを得るためにする行動です。
明確に分けましょう。