1.ナイトガード
歯ぎしりがもたらす影響
成人の約8割程度が、歯ぎしりやくいしばりをしているといった調査があります。
しかし、歯ぎしりというと、多くの人は「寝ている間に歯が強く擦れ合って、
ギリギリと音を出してしまうただの癖」と軽く考えています。
歯ぎしりやくいしばりが口腔内にもたらす影響は、みなさんの想像をはるかに超えて大きいものです。
歯ぎしりは、普段の生活からは考えられないほどの強い力を歯や周辺組織にかけています。
歯がすり減るだけでなく、最悪の場合は、歯が割れたり欠けたりすることもあります。
また、上下の歯が強く噛み合うことで歯頚部にたわみが発生し、
歯頚部がえぐれてしまったり(くさび状欠損)、歯がしみる(知覚過敏)症状が起こることがあります。
歯肉に対しては、大きな強い力により歯周病を悪化させてしまうこともあります。
歯ぎしりの種類
グラインディング
就寝中に歯をこすり合わせるタイプ。
独特の音がするため、周囲の人も気づきやすい歯ぎしりです。歯の摩耗を起こしやすくなります。
クレンチング
就寝中だけでなく、日中も常に歯をくいしばっているタイプ。
音がないため、本人も周囲の人も気づきにくいのが特徴です。
継続すると歯の摩耗やヒビだけでなく、歯ぐきなど歯周組織にも悪影響が及びます。
タッピング
カチカチと歯を鳴らすタイプ。グラインディングやクレンチングと比べて、自身で気づきやすい癖です。
そのため、発生する割合が低いと考えられています。
ナイトガードで負担を軽減
歯ぎしりは、ストレスを解消するために行われていると考えられています。
昔は、噛み合わせが原因で歯ぎしりが起こると信じられてきましたが、
かみ合わせが歯ぎしりの原因だという科学的根拠は無く、
現在ではかみ合わせと歯ぎしりの関連性はほぼ否定されており、
歯ぎしりの最大の原因はストレスだという説が現在最も有力です。
また、歯ぎしりは子供にもよく見られますが、これは歯の生えかわりや
顎骨の発育が身体にとってストレスとなっているために起こっていると考えられています。
これらは、成長において必要なものであり、ほとんどの場合自然に治ります。
様々な悪影響を及ぼすと考えられている歯ぎしりですが、
ストレス解消のための行動と考えられているため、根本的に治すこと・なくすことは難しいです。
そこで、歯ぎしりをしても歯や歯周組織に悪影響が出ないように、ナイトガードを使用します。
ナイトガードの使用によって、歯や歯周組織にかかる負担を軽減させることが出来ます。
歯ぎしりの程度など個人差が大きいですが、ナイトガードは数ヶ月から数年で作り変える必要があります。
2.スリープスプリント
睡眠時無呼吸症候群(SAS)について
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に舌を支える上気道(鼻から喉頭の部分)の筋肉がゆるみ、重力により下あごが下がって空気の通り道である気道が塞がれ、就寝中に呼吸が浅くなったり弱くなったり、呼吸が止まってしまう(無呼吸の状態)が発生する病気のことです。
特徴的な症状としては大きないびきや日中の強い眠気、倦怠感などです。これらの症状は日常生活へ支障をきたすだけでなく、
生活習慣病や循環器の疾患にも深く関係していることがわかっています。
一時的(具体的には10秒以上)に止まってしまう呼吸障害が、1時間に5回以上あらわれる状態のことをいいます。なお、5~15回を軽症、15~30回を中等症、30回以上を重症と診断します。
※通常の半分以下の状態が10秒以上続くと「低呼吸」といわれ、「無呼吸」状態と同様に睡眠時無呼吸症候群とされています。(診断は呼吸器内科などの専門医が行います)
当院は、呼吸器内科などの専門医と連携を取りながら、治療を進めていきます。
SASの症状
就寝時の症状
- いびきをかく
- 何度も目が覚める
- 何度もトイレに行く
- 寝汗をかく・寝相が悪い
日中の症状
- 強い眠気が続く
- 倦怠感や頭の重さがある
- 集中力や記憶力が落ちる
健康な場合
気道は十分に開いています。
いびき症や閉塞性睡眠時無呼吸症候群
①軟口蓋が厚く長い場合
②骨格に対して舌が大きい場合
③肥満などで舌が大きくなった場合
④ ①~③の複合
など。舌が沈下して気道を塞いでしまい、呼吸が妨げられます。
オーラルアプライアンス(ORAP)を入れると…
ORAPで下顎を前に出すことにより舌も持ち上がります。そのため
気道が広がり呼吸がしやすくなり、無呼吸が無くなり、いびきもかかなくなります。
また無呼吸に伴う微少覚醒が減少し熟睡感の向上につながります。
3.スポーツマウスガード
近年、スポーツをする方にマウスガードの使用が注目されています。
まず、導入によってケガを防ぐことができるのが最大の理由です。
昔からマウスガードを使用すると運動能力の向上がされると言われてきましたが、実際のところはまだ、解明されてはいません。
時に、運動能力の向上、パワーアップを目的にマウスガードをつくりたいという選手がいます。
実際にマウスガードをつけて力が入るようになったという選手もいますが、
マウスガードによってかみ合わせがよくなることで、何らかの効果があらわれることはあるかもしれません。
単純にマウスガードをつけている「安心感」が運動能力に影響を与えているかもしれません。
運動能力に関しては、諸説あり、まだまだ研究が必要です。
マウスガードの効果
- 歯や口腔内をケガから守る
- 顎関節への衝撃を小さくする
- 強い衝撃による脳しんとうを防ぐ
使用が義務づけられている競技
- アメリカンフットボール
- ボクシング
- キックボクシング
- 空手
- 少林寺拳法
- K-1
- ラクロス(女子)
- インラインホッケー(20歳未満)
一部義務化・推奨されている競技
- ラグビー
- サッカー
- バスケットボール
- 水球
- 相撲
- 柔道
- アイスホッケー
- スキー
- モトクロス