【医療を診る③】大学教育の無意味な点

医療 教育

前回の記事で医学部や歯学部の大学教育について少し書きましたが、今回はもう少し詳しく大学教育について書きます。

現在どのような教育が行われていて、どのように変えるべきなのかを説明していきます。

【医療を診る②】金があれば誰でも医師になれる 医師は優秀な人だけがなれると思っている人が多いのではないでしょうか。はっきり言ってしまって、全くそんなことはありません。医師になるための条件は、以下のうちのどちらかの条件を満たすだけです。....

現在行われている教育

医学部や歯学部の大学で、現在行われている教育は主にわけて

  • ・知識の詰め込み
  • ・実習
  • ・国家試験対策

といったところになります。

この中で、「実習」は基本的に必要不可欠なものです。
(意味があるかわからない実習もありますが・・・)

問題は、「知識の詰め込み」「国家試験対策」です。

~知識の詰め込み~

小中大学問わず、日本の教育は一方通行の知識の詰め込みが中心です。

それは医学部や歯学部などでも同様です。
しかも医学部や歯学部などで学ぶことは基本的に、「暗記」となります。

数学などのように、論理的思考はあまり関係ありません。
「覚える事実を教える」ということが、授業の大半になります。

授業でやる必要なくないですか??

そうなんですよね、授業でやる必要ないですよね。

どうせめちゃくちゃ値段の高い教科書をたくさん買わなくてはいけませんから、それを覚えていくことと何ら変わりません。

ちなみに医学系の教科書とか本って、本当に値段が高いんです・・・・

~国家試験対策~

これが最も無意味です。

国立の大学ではあまりないようですが、私大のほとんどでは6年生の間はひたすら国家試験対策の勉強ばかりだそうです。
酷いところは5年生でも国家試験対策らしいですよ。

国家試験に受かることは重要ですが、国家試験対策の勉強をしたところで医師としての質には関係ありません。
国家試験そのものにも問題はありますが、ただ単に「試験に受かるためだけの勉強」です。

医師免許を得ることも大切ですが、どのような医師になるかの方が大切なはずです。

大学で教えるべきこと

医師は特化したスペシャリストであることは間違いありません。
しかし大学に入学してから医師になって仕事をしていくまで、常に周りには医師や医療従事者しかいない環境が続きます。

結果として、医師は非常に視野が狭い「世間知らず」であることが多いと言えます。

そして常に正解に辿り着くことを求められる教育を受けてきた結果として、誰もが同じような考え方を持つステレオタイプになってしまっています。

医師が医療を行う相手は、当たり前ですが人です。

相手が機械や数字ではない以上、決まった正解はありません。
患者によって正解は違いますし、さらに言えば決まった正解はありません。

その中で最も重要になるのは、「考える力」です。

物事を多角的に見て考えて、判断しなくてはならないのです。
現在行われている教育では、その力はまず身につきません。

本来大学で教えるべきこと(学ばせるべきこと)は

  • ・物事を多角的に観察して考えること
  • ・そのために医学以外の様々な分野に触れること

ではないでしょうか。

医学以外の様々な分野に触れて様々な価値観や考え方を取り入れることで、物事の捉え方は多角的になります。
それこそが医師として非常に重要なものです。

そのためには、やはり大学は総合大学の方が良いでしょう。

様々な人と接することで、視野が広がる可能性は高くなりますよね。

そして講義で「覚える事実を教える」というのは、やめた方が良いですね。

意味ないです。

そんなことよりも、違う分野の人も含めた様々な人とディスカッションをしたりすることで、視野を広げるべきです。


そしてもう一つ、医学部などで学んだ方が良いものとして「経済」があると思います。
医療というのは「少子高齢化問題」「長寿化問題」「医療費問題」「年金問題」などの様々な社会問題に対して、非常に密接な関係があります。

医療の在り方は、健康だけでなく経済も通じて人々に大きく影響します。
医師が経済(特にマクロ経済)に対して無知なのは、とても危険です。

しかし残念ながら医師で経済を理解できている人は、ほぼいないと思われます。

是非医学部などの講義には、経済学を導入してもらいたいものです。

経営学はいらない

よく言われることとして、医師などは開業して経営者になることが多いにも拘らず、経営学が授業にないのはおかしいということがあります。

はっきり言って経済学は必要ですが、経営学は必要ありません。
もちろん個人的に学ぶことは自由ですが、大学の講義などに取り入れる必要はないと思います。

そもそも医師という職業には他の職業と比べて異なる点があります。

それは

  • ・国民皆保険がある
  • ・インフラに近い

ということです。

医師の収入は顧客である患者が窓口で支払ったお金以外に、健康保険料や税金から出ています。
つまり限りなく公務員に近いということですね。

そして医療はサービス業ではありますが、電気や水道などと同じように無くなったら人々が生きるのに困るものです。
インフラに近い存在ということです。

要するに医師は公的な存在でもあるわけですから、自分の利益だけを追求していいわけではないのです。

個人的には、医療に自由競争は向いていないと思います。

そして医療と経営は分離するべきです。
(この辺りは他の記事で詳しく書きます。)

医師は「いかに稼ぐか」ではなく、「いかに病気を減らすか」を考えなくてはなりません。

つまり「いかに自分たちの必要性を減らせるか」ということが、医療の目的なのです。

酷な話ではありますが・・・・

このような観点から言えば、経営学は医師にとって必要な学問ではありません。
そして本来は医師が経営者になるのは、医療の本質から離れてしまうと思います。


最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。

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