新型コロナでのお祭り騒ぎはなかなか収束しませんが、現代における病気の主たるものは、新型コロナのような感染症ではありません。
生活習慣病をはじめとした慢性疾患です。
現代においては死因の上位に来る病気は慢性疾患であり、生活習慣に関連するものばかりです。
実際に、新型コロナのような感染症で亡くなる人も、生活習慣病のような基礎疾患を持っている人が大半ですよね。
そのような意味でも、現代においては生活習慣病のような慢性疾患への対応こそが、医療の第一の役割であることは疑いようがありません。
しかし慢性疾患に対して、医療制度は致命的欠陥を抱えていて、医療は完全に矛盾してしまっています。
要は
- 医療は果たすべき役割を果たしておらず、機能していない
ということです。
それでは、医療制度にどのような欠陥があり医療の矛盾とは何なのかについて、説明していきます。
慢性疾患への治療
生活習慣病のような慢性疾患の特徴としては
- ・薬を飲むなど、病院での治療を受けても治らない
- ・予防や改善は、自分の生活習慣によって可能
- ・様々な合併症を引き起こす
ということが挙げられます。
このあたりが、感染症のような病気と大きく異なる点です。
例えば糖尿病を考えてみましょう。
糖尿病は代表的な生活習慣病で、血糖値を下げるインスリンが正常に働かなくなることで、血液中の血糖値(ブドウ糖濃度)が高くなってしまう病気です
糖尿病は、腎症・網膜症・神経障害の3大合併症だけでなく、歯周病・動脈硬化・認知症・感染症などの様々な合併症が報告されています。
そして、糖尿病を治そうと病院に通っても、治ることはありません。糖尿病の治療が全て無意味というわけではなく、薬を飲んだりインスリン注射をしたとしても、糖尿病自体が消えるわけではないということです。
薬やインスリン注射で血糖値を下げることは可能ですが、糖尿病が治るわけではなく、毎日薬を飲んだり注射をしなくてはいけません。つまり治療と言っても、その状態に対応するのみの「対症療法」でしかないわけです。
原因を解決しているわけではないということですね。
病気には、必ず「原因」があって「結果」が生じます。
当然ですが、根本的に解決するためには、原因を改善する必要があります。
(病気に限らず、全てのことについて言えることですが。)
感染症の場合の原因と結果は、以下のようになります。
原因は細菌やウイルスの感染ですから、その感染状態に対処することが、根本的な解決に繋がるのは言うまでもありません。薬であれば、抗生物質や抗ウイルス薬ですね。
また、感染を克服したり防いだりする免疫力を高めたり保ったりすることも、根本的な解決になります。
解熱剤や咳止めなどを飲んでも、何の根本的解決にもなりません。
では生活習慣病についても見てみます。
原因はもちろん「日々の生活習慣」です。
生活習慣病を改善したり予防するには、原因である生活習慣にアプローチしないといけないですよね。当たり前の話です。
しかし現在の医療で行われていることは、「血圧を下げる薬を飲ませる」「血糖値を下げる薬を飲ませる」というのが主です。
根本的に解決するわけないですよね。風邪の時に、咳止めを飲んだり鼻水止めを飲んだりするのと、同じようなレベルなのです。
医療の役割
そもそも、医療の役割は何でしょうか。
一時的に症状を抑えることでしょうか。
もちろん、違いますよね。
「病気を治すこと」と思う人は多いかもしれませんが、正確に言えば違います。
医療の役割は
- 健康の維持
です。
病気を治すために治療を行うのは、その中の一部分にすぎません。
健康を維持するために何が理想的かと言えば
- 病気にならないこと
ですよね。
病気にならないようしても、残念ながら病気などになってしまった場合に、やむを得なく治療をするわけです。
もう少し言えば、病気になったからと言って、必ずしも治療をするわけではありません。年齢や身体全体の状態を考慮して、治療をした方がトータル的に人生のプラスに寄与する場合にのみ、治療を行うのが正しい医療です。
なんにせよ、医療の第一に重要な役割は、「病気にならず、健康を維持できること」です。そのためには、日々の生活習慣が全てと言っていいレベルですから、患者本人の果たす役割も大きくなるわけです。
医療の矛盾
それでは、医者の役割は何かと言うと
- 患者に、自分の身体の状態や正しい生活習慣を教える
ということが第一です。
仮に町医者が住民に正しい生活習慣などを啓蒙し、住民誰もが健康で病院にかかる必要なく生きていけるのであれば、最高ですよね。そしてその医者は、最高の名医です。
しかし、それが実現できると最高の名医は収入がなくなります。医者というのは、病人がいるからこそ収入を得られるのであって、病人がいなくなれば収入を得ることはできません。
予防のためにどれだけ時間をかけて生活習慣について説明しても、残念ながら1円にもなりません。正しいことをしても、評価されないのです。
金銭的評価だけでなく、患者からの評価も同様です。
血圧を下げる薬や血糖値を下げる薬をどんどん出して、頑張って治療している風な医者は、患者からの評判は良くなりがちです。
逆に薬を安易に出さずに、生活習慣を改善するように説明して薬を出してくれない医者は、もれなく患者から「ヤブ医者」認定を受けることが多々あります。
要するに、医者は正しいことをして素晴らしい結果を出せても、患者からの評価も金銭的な評価も得ることができないのです。
そして根本的解決を目指さないような医者が、信頼もお金も得ることができるわけです。こんな矛盾した状態では、真っ当な医療はほぼ行われません。
生活習慣を改善しなくてはならない生活習慣病に対して、結果をいじくりまわすだけの医療が行われ続けているのです。生活習慣病などの慢性疾患が主である現代において、このようなシステムは早急に改善する必要があるのです。
まとめ
- ・病気の根本的解決をするには、原因にアプローチしなくてはならない
- ・現在の医療は、原因ではなく結果をいじくりまわすだけの対症療法
- ・医療の本質的な役割は、病気にならずに健康を維持すること
- ・正しい医療を行う医者は、全てにおいて評価されない
まず、医療制度の改革が必要です。処置だけでなく、予防や指導に対する金銭的な評価を充足させなくてはなりません。
患者に対しても、悪い生活習慣の結果として病気になる人に対してよりも、生活習慣に気を付けて病気にならない人にメリットのある制度にする必要があります。
但し、この辺りは政治的な話になりますから、私たち一人一人がすぐ何かをできるものでもありません。
しかし、一人一人が正しい知識を得て、正しいことを行っている医者を評価することは可能です。しっかり原因に対してアプローチしてくれて、病気を倒すことが目的ではなく健康の維持を目的としてくれる医者こそが、信じるべき医者だということを知らなくてはなりません。
簡単に言えば、風邪で薬を大量に出す医者はダメです。「暖かくして水分とって良く寝てください」と、薬を出さずに印刷を終わらせてくれる医者こそが、良い医者です。
一人一人が、自分たち患者の手で正しい医者を潰しているという現実を理解しなくてはなりません。
無知は罪にもなり得るのです。