長期的思考を育む
考え方には、大きく分けて2つの方法があります。長期的思考と短期的思考です。
長期的思考は、目の前の事柄などに捉われるのではなく、長い目で見て考えることです。
それに対して短期的思考は、先のことは考えずに目の前のことだけを解決しようとする考え方です。
この両者はどちらが絶対的な正解だとかいうわけではなく、どちらも重要なものであり、場合によって使い分ける必要があるものです。
しかし現代は、短期的思考に偏り過ぎています。長期的な視点で物事を考えず、目の前のことばかりに執着しています。
長期的な思考ができる人が、とても少ないように感じます。「今だけ、金だけ、自分だけ」が溢れた世の中です。
様々な所で短期的思考が蔓延していますが、誰もが身近なところでは医療も短期的思考の温床になっています。
現代医療は短期的思考の温床
短期的思考を医療的な言い方をすれば、「対症療法」になります。その場で感じている症状に対応するというものです。
それに対して、長期的思考を医療的に言えば、「原因療法」になります。そもそもの原因に対してアプローチするものです。
医療の役割は健康の維持ですから、本質的には病気などになった場合、その原因を取り除いて再発しないようにする必要があります。
さらに言えば、そもそも病気にならないようにすることが重要です。
しかし、現代の医療は対症療法ばかりになってしまっています。
咳が出たら咳止めを処方され、熱がでたら解熱剤を処方され、血圧が高いと判断されれば血圧を下げる薬を処方されます。
「なぜその状態になったのか」
という思考がまるでないのです。
今のその状態を改善させることが治療だと勘違いしているわけです。
咳止めや解熱剤や降圧剤などを飲んだところで、その後の健康には一切関係ありません。
その後の健康を維持するためには、その状態になった原因に対してアプローチする必要があります。
(血圧などは、そもそも基準値がおかしいですが。)
そのためには、生活習慣を改善することが重要です。
診察の際に、生活習慣について医師が説明したとしても、確かに短期的にはその時点での状況は改善しないかもしれません。
しかし、それが当たり前なのです。長期的に考えて原因療法を行おうとしていますからね。
しかし、多くの医師は原因療法ではなく対症療法ばかりをしています。そして患者も、それを望んでいるのです。
投薬せずに生活習慣の指導を行う医師に対して
- 「いいから薬を出してほしい」
- 「あそこの医者は薬も出してくれない」
などと言うわけです。
確かに、医療には対症療法も必要です。腫瘍が血管や神経を圧迫しているようなときなどは手術が必要になりますし、喘息発作が出たときはステロイドが必要です。
長期的思考だけでは人の命を救えないのは間違いありません。しかし逆に短期的思考だけでも、人の命や健康を守ることはできません。
対症療法と原因療法は適材適所で使わなければなりません。
日本人のレベルが低下している
このような短期的思考は、医療に限ったことではありません。政治も経済も金融も教育も、短期的思考に蝕まれています。
その理由としては
- 日本人のレベルが下がっているから
ではないかと思います。
長期的思考というのは、自分の人生の中での長期的な考え方でもありますが、それ以上に次世代やその先の世代のことを考えることが根本ではないでしょうか。
未来の世代のことを考えることこそが、長期的思考の根底だと思います。日本人は元来、そのような思考を持ってきた民族です。
しかし、現代は違います。高齢者は若者を犠牲にしてまで権利を主張する時代です。
子供や孫やその先の生活よりも、今の自分の生活を大切にする大人が多くいます。
日本人の精神性のレベルが低下していると思います。その結果が、「今だけ、金だけ、自分だけ」などの短期的思考への偏りです。
教育を変える必要がある
では、どうすれば日本人がまた長期的思考を取り戻せるのかと言えば
- 教育から変える
ということが必要だと思います。
日本の学校教育では、大東亜戦争をはじめとして正しい歴史を教えていません。GHQが作った自虐史観を植え付けるための歴史です。
私たちの先祖が日本を守るために、何をしてどのように戦ってきたのかを私たちは教わっていないどころか、嘘を教えられているのです。
正しい歴史を学ぶことによって、先人たちの思いを理解し、自分たちが未来の世代にやるべきことも見えてくるのではないでしょうか。
その根底は、日本人としてのプライドだと思います。「自分さえ良ければ良い」というのが当たり前になるのではなく、見苦しいと感じるのが日本の文化なのではないでしょうか。
まとめ
- ・長期的思考ではなく、短期的思考が蔓延している
- ・日本人のレベルが低下しているのが原因
- ・教育を変えることで、長期的思考を持てるようになる
今を犠牲にして未来を大切にするというのは、始めはある種の覚悟のようなものが必要だと思います。
しかし、トータルで見た時には損得勘定においても、長期的視点の方が得な場合の方が多いです。「今」「自分」を捨てれば、結果得をするわけです。
大人が長期的思考を身につけるために有効なツールとして、長期積み立て投資があります。まさに長期的思考の基に成り立つものですし、長い目で見たらメリットが大きいです。
ですから、長期投資をしている人は長期的思考を持っている人が多いですね。
子どもにも早い時期から長期投資に取り組ませるのも、長期的思考を育む有効な手段だと思います。
とは言え、やはり根本は未来への思いやりなのは間違いありません。そのような思いを持った人が増えて欲しいと、心から思います。