病院に治療を受けに行って、担当した医師が若くて不安になったことはありませんか?
不安になります
若い医師は経験や技術が、まだ未熟なんじゃないかと思って不安になりますよね。
若くて未熟な医師よりも、経験や技術が十分にあるベテラン医師に診てもらいたいと考える人は多いのではないでしょうか。
しかし、一概にベテラン医師の方が良いとは言い切れないのです。
若手医師に診てもらうメリットもありますよ。
若手医師VSベテラン医師
若手医師とベテラン医師をざっと比べてみましょう。
もちろん人によるところが大きいので、傾向として考えてくださいね。
若手医師 | ベテラン医師 | |
---|---|---|
少ない | 経験 | 多い |
少ない | 経験 | 多い |
低い | 技術 | 高い |
少ない | 担当患者数 | 多い |
狭い | 視野 | 広い |
経験 | |
---|---|
若手医師 | 少ない |
ベテラン医師 | 多い |
技術 | |
---|---|
若手医師 | 低い |
ベテラン医師 | 高い |
担当患者数 | |
---|---|
若手医師 | 少ない |
ベテラン医師 | 多い |
視野 | |
---|---|
若手医師 | 狭い |
ベテラン医師 | 広い |
非常にざっくりですが、このような感じですね。
若手医師には、良いところが無いように思えるかもしれませんね。
ここでの「視野」とは治療の上での視野だけでなく、もっと広い意味での「視野」になります。
実はこの視野の狭さこそが、若手医師の最大のストロングポイントになります。
若手医師に診てもらうメリット
医師になって間もない若手医師は、当然のように自分の技術や経験に自信を持てません。
- ・「自分の判断は合っているのだろうか...」
- ・「自分の力で患者さんを改善できるだろうか...」
このようなことを考える毎日です。
そして自信を持てないからこそ、必死に担当患者のことを考えます。
- ・「自分にできることはなんだろうか」
- ・「どうすれば患者さんに喜んでもらえるだろうか」
などなどですね。
「視野が狭い」というのは、このようなことも含まれます。
とにかく自分が担当している数少ない患者のことを、ひたすら考えるだけです。
逆に言えば、それ以外は考えられません。
私も歯科医師になったばかりの頃は、一人の患者さんのレントゲンや模型と何時間も睨めっこしながら、ひたすら考えていることはよくありました。
自信を持てるような答えが出ることはありませんが、それでも自分が担当して治療している患者の状態を良くすることばかり考えています。
そしてそれと同時に、もっと良くする方法はないだろうかと必死に勉強します。
要するに若手医師は患者に向き合って、とにかく一生懸命なことが多いのです。
でもそれはベテラン医師でも同じでは?
多くの人は、医師である限り患者に一生懸命向き合うのは当たり前と思っているかもしれませんが、決してそんなことはありません。
ベテラン医師は、一人一人の患者に必死に向き合っているわけではありません。
これは決して悪いことでもありませんし、むしろ当然のことです。
治療などをしている時には目の前の患者に集中しますが、それ以外の時に患者一人一人のことをずっと考えることなどできません。
若手医師と違い、ベテラン医師は
- ・数多くの担当患者の治療
- ・後輩、部下、従業員などの教育
- ・経営のこと
- ・医療界全体として、やるべきこと
など様々なことを考え、行わなくてはなりません。
つまり視野を広く持たなくてはいけないわけです。
視野を広く持てば、一つ一つに関しては希薄にならざるを得ません。
治療自体は、仕事全体のうちの2~3割くらいのイメージですね。
そして更には、一人の患者に対して一生懸命誠心誠意時間を取ることは、他の患者も含めた病院全体にとってはマイナスにもなりかねません。
もっと言ってしまえば、一人の患者に対して感情移入することは、医療全体にとってマイナスになることも多々あります。
どういうこと?
例えば治療を行っても、根本的な改善は見込めない患者がいたとします。
その患者に時間をかけて治療するということは
- ・他の改善が見込める患者に割く時間が減る
- ・改善が見込めないにも拘らず医療費を使って治療するため、マクロ的視点で見れば若い世代の負担を増やしているだけになる
というようなマイナスが発生します。
時間をかけて治療することは、その患者にとってはプラスになるかもしれませんが、トータルで見た場合はマイナスなのです。
視野を広く持つということは、このようなことも考えながら判断することになります。
つまり傾向として言えば、ベテラン医師は広い視野を持っているがゆえに、一人一人の患者に対して必死に向き合っているわけではありません。
それに対して若手医師は、ベテラン医師のような広い視野を持てないがゆえに、一人一人の患者に必死に向き合って全力を尽くしています。
患者の立場からしたら、これは若手医師に診てもらうメリットになりますよね。
皆さんの状態を改善したいと心から思って頑張っているのは、間違いなくベテランより若手の方ですよ。
若手医師に診てもらう必要性
ここまでは若手医師に診てもらうメリットを説明しましたが、そもそもメリットとかの話ではなく、若手医師に診てもらう必要性があります。
当たり前ですが、ただ年月が過ぎたら自動的に経験豊富で技術のある医師が出来上がるわけではありません。
若いうちから多くの経験を積んだ結果として、経験値は貯まり、技術は向上するのです。
若い先生は嫌です。
院長先生にしてください。
このような要望を出してくる患者は多くいますが、この人たちは自分のことしか考えていないわけです。
もしこのような人ばかりだったら、医療の未来はどうなるんでしょうか?
そして残念なことに、このような要望を出してくる人は、高齢者であることが多いです。
はっきり言ってしまって、あり得ないですよね。
難易度や専門などの問題もあるので一概には言えませんが、高齢者こそ若手医師の治療を受けるべきなのは明白です。
社会において最も大切にされるべきは、当然子供達です。
そしてその次は労働世代です。
当然リタイアした高齢者世代は最後ですよね。
であれば経験豊富で技術の高いベテラン医師が誰を診て、若手医師に診てもらうべきなのが誰なのかは誰にでもわかります。
そして高齢者の人は、必死に向き合ってくれる若手医師に診てもらった方が幸せな場合が多いと思います。
若手医師の成長に貢献できるだけでなく、自分のために心から頑張ってくれるわけです。
若い医師や新人医師は、確かに経験も少ないですし、技術も未熟です。
しかし彼らは、未熟がゆえに必死に頑張って皆さんのことを考えています。
ぜひあたたかい目で見てあげてください。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。