日本にも悪いインフレが起こりそう
最近の米国では、インフレ率の高止まりが深刻な問題になりつつあります。
2021年10月のインフレ率は前年同月比で6.2%の上昇となり、約31年ぶりの高い上昇率となりました。
FRBが目標とする2%程度のインフレ率を大幅に超える5%台が5カ月続いていましたが、さらにそれを上回ってしまったわけです。
- FRBとは
- 米連邦準備制度理事会のことで、米国の中央銀行の最高意思決定機関です。
- 日本で言えば、日本銀行のような存在です。
FRBのパウエル議長は、これまで「この高いインフレ率は一時的なもの」と言っていましたが、最近になって「一時的」という認識を取り下げました。
要するに、米国はどんどん過剰な物価上昇が起こってしまっていて、それが深刻な問題になりつつあるということです。そしてこれは、米国に限らず世界中で起こり始めているのです。
しかし日本はと言えば、相変わらずのデフレ傾向です。インフレ率を表す消費者物価指数は、やっとのことでわずかにプラスに転じた程度です。
(2021年11月はプラス0.5%)
では日本の今後はどうなるかと言えば、世界各国と同様にインフレに転じる可能性が高いと考えられます。
ちなみに現在起こっているインフレは、良いインフレではなく悪いインフレです。悪いインフレが日本でも起こりそうだということですね。
では現在米国をはじめとした世界で起こっているインフレについて、そして日本の今後の展望について説明していきます。
インフレの原因
そもそも程よい経済成長は、インフレ率2%程度と言われています。
デフレは経済が衰退しているということなので論外ですが、過剰なインフレもバブルになってしまうので好ましくありません。 そして現在世界的に起こっているインフレの原因は、主に以下の二つです。
- ・新型コロナ対策による財政出動
- ・サプライチェーン(供給網)の混乱
両方とも新型コロナ騒ぎによる影響です。
まず財政出動ですが、各国政府は新型コロナ対策として財政出動を行っています。それによって、お金の流通量が増えたということです。
当然何もしなければ経済は大ダメージを受けますから、新型コロナ対策として経済を止めたりするのであれば、財政出動は必要不可欠な措置です。
巷では「バラマキ」などと批判する人もいますが、少なくとも日本で言えば全く足りていません。
緊急事態宣言やら時短やら無意味に経済を痛めつける措置をするのであれば、少なくとももっと政府がお金を出すべきです。
このようにして起こるインフレは、過度にならない限り良いインフレと言えます。お金が増えれば需要が高まりますから、企業の業績が良くなり社員の給与も増えて、経済成長に繋がりますからね。
次に、サプライチェーンの混乱です。
今回のインフレの問題点は、主にこちらです。供給が滞ってしまっているということになります。
新型コロナ騒ぎで失業する人が増えたり、業務を正常に行えず縮小したりする業種が出てきたりします。
例えば宅配ドライバーの不足などですね。それによって、社会に物やサービスの供給量が減ってしまいます。
供給が減ってしまえば、当然価格は上昇します。このように、サプライチェーンが混乱することにより供給不足が起こって、インフレが起こってしまうわけです。
そしてこのインフレは経済成長を伴いませんから、悪いインフレです。物価だけが上がっていき、人々の生活を圧迫するだけになってしまいます。
日本の企業は踏ん張っている
サプライチェーンの混乱の影響を受けているのは、日本も同様です。にも拘らず、日本ではほとんど物価上昇が起こっていません。
その理由は
- 日本の企業が踏ん張っているから
です。
以下のグラフは、日本のここ1年の生産者物価指数(PPI)の成長率を表したものです。
生産者物価指数(PPI)とは、「生産者が出荷した製品や原材料などの販売価格の変動を調査・算出した経済指標」のことを言います。
もう少しわかりやすく言うと
- 企業の仕入れ価格の指標
と考えてください。
どんどん上昇しているのがわかりますよね。それなのに、消費者物価指数は全く上がっていないのです。
これは
- ・日本企業の仕入れ価格は、どんどん上がっている
- ・しかし、消費者への販売価格は上げていない
ということに他なりません。
つまり、日本企業が頑張って耐えているというわけです。
しかし、日本企業にもいつか限界はきます。その時は値上げが起こり、私たち日本人も他人事ではなくなるということです。
日本はチャンスを逃している
そもそも日本は、欧米諸国などと比べてもコロナ後の経済回復が遅いという特徴があります。
GDPの伸び率は、日本は先進諸国の中で底辺です。おかしいですよね。
日本の新型コロナのダメージは、欧米諸国などと比べると極小なのは誰もが知る事実です。
なのに経済は回復していないわけです。本来的には、新型コロナ騒ぎが世界中に広がる中で、日本は欧米諸国などよりも経済活動を継続できたはずなのです。
世界中が低迷するなか、日本は低迷せずに成長することができるチャンスでもあったはずです。残念ながら、そのチャンスをみすみす逃してしまっていますが。
その原因は、「過剰なコロナ怖い病」という思考停止と同調圧力であることは言うまでもありません。
まとめ
- ・米国をはじめとして世界的にインフレが深刻な問題になりつつある
- ・このインフレは、サプライチェーンの混乱による悪いインフレ
- ・日本は今のところ企業努力で物価は上がっていない
- ・日本もそのうち物価上昇に転じると考えられる
全ての根源は、新型コロナ騒ぎです。
欧米諸国はさておき、日本は意味なく騒いでいます。
いわば自業自得の人災ですね。