医師は優秀な人だけがなれると思っている人が多いのではないでしょうか。
はっきり言ってしまって、全くそんなことはありません。
医師になるための条件は、以下のうちのどちらかの条件を満たすだけです。
- ・勉強ができること
- ・お金があること
この二つの両方ではなく、どちらかを満たすことができれば誰でも医師になることができます。
誠実さも高い志も必要ありません。
そして必ずしも「勉強できる=優秀」と言えるわけではありませんが、勉強ができなかったとしてもお金があれば医師になれるのです。
つまり医師になるために努力などしなくても、金持ちの家に生まれれば、誰でも医師になれてしまうわけですね。
社会的地位や収入が平均に比べてはるかに高い医師という職業は、金で買えるということです。
不公平だ!!
不公平だと思いますよね。
そうです、不公平なのです。
そして残念ながら、それが現実です。
ではなぜお金があれば医師に誰でもなれるのかを、わかりやすく説明しますね。
医師になるまでの二つの関門
医師になるためには、大きな二つの試験を突破する必要があります。
- ・大学入試
- ・国家試験
まず大学入試で医学部や歯学部に合格し、6年間の学生期間を経て医師国家試験・歯科医師国家試験に合格することで、医師免許・歯科医師免許を得ることができます。
当たり前ではありますが、この二つの試験を突破することが医師になるための必要条件です。
医師になるためには、このルート以外には存在しません。
大学入試の実態
医学部や歯学部の大学入試はとても難易度が高く、一部の秀才しか合格できないと思われている人は少なくないかもしれません。
しかし、全くそんなことはありません。
確かに大学受験においての最難関は、東大理Ⅲ(東京大学医学部)ですし、国公立の医学部は超難関であることは間違いありません。
医学部以外の東大や早慶などに合格するよりも、国立の医学部に合格するほうが難しい場合のほうが多いです。
しかし偏差値が高くて難関であるのは、国立の医学部や一部の私立の医学部など、ほんの一握りです。
(歯学部は医学部よりもはるかに難易度は低いです。)
それ以外は全く難関ではないですし、学力で言えば正直誰でも合格できるようなところはたくさんあります。
要は他の学部と同じで、ピンキリなわけです。
例として最も偏差値の低いレベルの歯学部の入試問題は、中学生レベルの学力があれば溶ける問題が一番難しい問題です。
(数学で言えば二次関数レベルです。)
それでも解けない人が多数いるようです。
驚きじゃないですか?
中学生レベル!?
もちろん勉強ができれば良い医師になれるというわけではありませんし、勉強ができなくても良い医師になれる可能性はあります。
しかし最低レベルの教養というのは必要ですよね。
私立の医学部や歯学部の中には、この最低レベルをクリアできない人が多数入学していくわけです。
要するに試験を受ければ受けるような医学部・歯学部が多数あるというわけです。
ただし条件があります。
そうです、お金です。
学力のレベルが低い学校ほど、学費は高くなっていきます。
具体的な6年間合計の学費としては以下の通りです。
国公立医学部・歯学部 | 私立医学部・歯学部 |
---|---|
約350万円 | 数千万円~ |
私立は寄付金を入れれば、さらに金額は増えるかもしれませんね。
結局のところ6年間で数千万円レベルの学費を支払うことができれば、学力がなくても医学部や歯学部に入ることができます。
もちろん一般家庭には、数千万円などという学費は払えませんよね。
つまりは医師というのは、国公立に合格できる一部の勉強ができる人を除けば、金持ちの家に生まれた人がなる職業なのです。
勉強ができれば医師になれるというのもどうかと思いますが、それ以上に金持ちの家に生まれたら医師になれるというのはおかしいと言わざるを得ないですよね。
ちなみに聞いた話でしかありませんが、お金を払って入試の点数を加点するなどの、いわゆる「裏口」的なものは普通にあるみたいですよ。
やっぱりお金なんですね・・・・
国家試験の実態
高い学費を払って大学受験を合格しても、国家試験で受からないと思われる方もいるかもしれません。
以下は医師と歯科医師の国家試験の合格率です。
医師 | 歯科医師 |
---|---|
92.1% | 65.6% |
(2020年)
医師国家試験は90%以上の合格率ですし、歯科医師国家試験も近年合格率が下がっているとはいえ2/3が合格する試験です。
つまりはぬるい試験だということです。
中学レベルの学力しかなくても合格できるような学校でも、国家試験合格率は50%程度あったりします。
国家試験なんてそんなものなんです。
そもそも、私立の大学は国家試験合格率がアピールポイントになります。
国家試験合格率が低ければ、志望者が集まりません。
ですから私立の多くの学校は、1年間やそれ以上かけて学校で国家試験対策に取り組んでいます。
国家試験の傾向などを分析して、ひたすらどんな答えを選べばいいかを頭に叩き込む作業をひたすら行うのです。
(国家試験は選択問題です。)
それはただの試験対策で、実際の臨床などにはあまり役に立ちません。
もちろん医師としての心構えや意識を育むことはありません。
つまり医師国家試験・歯科医師国家試験は、「医師として適正かどうかを判断する」という本来の目的は全く果たすことはできないお飾りなのです。
大学の教育を変える必要がある
ここまで説明してきたお金があれば医師になれるという問題は、多くの問題を抱えています。
お金の問題だけではなく、国立であっても大学の意義自体の問題でもあるのです。
そもそも高校を卒業して、大学入試を受ける段階で医師になることを決めなくてはならないのが一つの大きな問題です。
医学部・歯学部は6年間ですから、6年間通って医師になれないとなると、その人の人生はかなり厳しいものになってしまいます。
大学としては、医学部・歯学部に入学してきた生徒を適性にかかわらず、医師・歯科医師にしなくてはならないのです。
医師には向いていない人もいるでしょうし、医学部に行かなかったけれど実際には医師の適性があった人もいるでしょう。
医学に触れてみてから医師になるかを検討したり、適性があるかを判断したりするほうが適切で効果的ではないでしょうか。
そうすればより多くの若者が、医師を将来の選択肢に入れることができるようになります。
これは何も医師だけの話ではなく、他の学部などについても同じことが言えます。
アメリカの大学のように、入学したときには進路などは決まっておらず、大学で自分が興味ある講義を受けたりしながら進路を決めていくべきではないでしょうか。
もちろんその中で、適性なども判断されるわけです。
そして一つの分野以外の知識も得られることで、視野も広くなるかもしれません。
このやり方は、医学部や歯学部など専門の大学はいらないということになります。
総合大学のみになるわけですね。
そうすれば学費もある程度一律に近づけることも可能でしょう。
もちろん一律にすることで、最終的に進む学部によっては不公平になるかもしれませんが、それはあくまでも結果論ですよね。
どの学部に進むかは自分自身の選択によるものですから。
この方法は、すべての人に対して様々な可能性を提示することができ、学びの機会を与えることができます。
日本においては現実的に難しいかもしれませんが、大学の本来的な役割を考えれば適切な方法ではないでしょうか。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。