最近「異常気象」という言葉をよく聞きます。
確かにテレビのニュースからは怖い言葉が聞こえてきますね。
「観測史上最大の降雨量!!」
「記録的な大雨!!」
「過去に類を見ないレベルの大雨!!」
「史上最大級の台風!!」
などなど。
怖いですよね・・・・・
でも・・・毎年観測史上最大の大雨になっていませんか?
去年も一昨年もその前も、「観測史上最大」という言葉を聞いた気がします。
毎年観測史上最大を更新し続けているくらい異常気象なのでしょうか。
だとしたら恐ろしいですね・・・・
しかし、実はこれにはカラクリがあります。
「観測史上最大」という言葉は、完全に嘘ではありませんが、無駄に人々の不安を煽ってしまっています。
一般的に考えれば、例えば「東京で観測史上最大の大雨!!」と言われたら、これまで東京で降った雨の中で一番の大雨と思いますよね。 でも実はそうでもないのです。
<アメダス>
「アメダス」という言葉を天気予報で聞いたことがあると思います。
アメダスは地域気象観測システムの通称で、降水量、気温、日照時間、風速・風向を観測しています。
(降雨量は雨だけを言い、降水量は雨だけでなく雪なども含めたものです。)
つまりどのくらい雨が降ったかは、アメダスが測定しています。
そしてこのアメダスは、なんと日本に約1300箇所も存在しています。
平均したら一つの都道府県ごとに30弱あるということになります。
(もちろん広さによって異なります。)
また、アメダスによる計測が始まったのは1970年代後半なので、現在まで約40年間計測してきたことになります。
では、話を「観測史上最大」に戻します。
テレビでよく言っている「観測史上最大」とは
「ある一つのアメダスがこれまで約40年間での観測の中での最大」
ということです。
ちょっとわかりにくいですね。
例えば、昨年にA地点のアメダスが約40年間の観測の中で最大の降雨量を計測したとします。
これは「観測史上最大」です。
そして今年にA地点の近くにあるB地点において、約40年間の観測の中で最大の降雨量を計測したとします。
この今年のB地点での降雨量が、去年のA地点での降雨量よりも少なくても、これも間違いなく「観測史上最大」です。
1300箇所もあって、まだ約40年しかデータがないわけです。
毎年「観測史上最大」が出ても何の不思議でもないですよね。
むしろ、どこか「観測史上最大」が出てくるのが普通でしょう。
しかし、例えばニュースで「東京で観測史上最大の降雨量」と言えば、東京でこれまで降った雨の中で一番の降雨量と思いますよね。
それが毎年続けば、東京はどうなってしまうのだろう、と不安になりますよね。
でも実際は、東京にある一つのアメダスの拠点において、約40年間の間で最大であるだけなのです。
地点をずらせば、もっと多くの雨が降ったことなんて、たくさんあったりするのです。
なんだかトリックみたいじゃないですか?
ちなみに似たようなことですが、「今日1日で1か月分の雨が降りました」というような言葉も天気予報やニュースで聞いたことがあるのではないでしょうか。
これもトリックみたいなものです。
というか詐欺ですかね。
雨というのは、平均すると1カ月の中で約3日間程度降っているそうです。
要は1か月分の雨というのはこの3日間分の雨ということです。
ザーザー降りだったら十分にありえるようなレベルということです。
「1日で1か月分」と言われたら、普通は30倍くらいの雨のように錯覚してしまうのではないかと思います。
<メディアの害悪>
このようにメディアは無駄に人々の不安を煽るような報道をしているわけです。
そして明確に嘘をついているわけではないところが汚い。
基本的にポジティブニュースよりもネガティブニュースの方が、人々の注目は集まりやすいので視聴率が稼げるのです。
メディアは国民に事実をわかりやすく伝える義務があるはずです。
不安を煽って視聴率を稼ぐことが目的になっている今のメディアは、害悪です。
「観測史上最大」を連発することで、人々が無駄に不安になったり、逆に慣れてしまって本当に危ない時がわからなくなってしまうこともあります。
メディアには正しい報道をしてもらいたいものですが、はっきり言って期待できないと思います。
ですから私たち一人一人が、正しい知識を得て自分の頭でしっかり判断できるようになるしかないと思います。
メディアの報道を鵜呑みにして思考停止になってはいけません。
自分の頭で考えましょう。