1.セルフケアについて
セルフケアとは健康を維持するために日頃から自分自身で行うケアのことを言います。病気になってしまったら治療をすることは大切ですが、最も大切なことは悪くならないことです。口腔内で言えば、失った自分の歯や歯周組織は戻ってきません。どんな治療をしてもどんな材質を使っても、自分自身の生体に勝るものはありません。口腔内の代表的な病気の虫歯や歯周病を予防するためのセルフケアで最も大切なことは歯磨きです。歯医者に通っても歯磨きができていなければ予防することはできません。歯磨き以外のセルフケアとして食習慣に気を付けることもあります。
2.歯磨きについて
虫歯や歯周病の予防のために最も大切なのは歯磨きです。 虫歯や歯周病の原因となる歯垢は最近の塊であり、うがいでは除去できません。歯ブラシで機械的に除去しなくてはなりません。
しかし適切な歯磨きをできている人はほとんどいないように思います。
正しい歯磨きについて理解し、身につけていきましょう。
それでは歯みがきについて下記の順番で説明していきます。
- a.歯垢のたまりやすい場所
- b.歯ブラシの選び方
- c.歯ブラシの方法
- d.歯磨き粉・洗口剤について
- e.補助道具について
a.歯垢のたまりやすい場所
きれいに磨くためにはまず歯垢のたまりやすい場所を知ることが大切です。下図は、歯垢がたまりやすい場所です。
天然毛は雑菌が繁殖しやすいです。
また、歯ブラシの交換時期は個人差がありますが、約一ヶ月程度といわれています。毛先が開いてきたら交換時期です。
b.歯ブラシの選び方
硬さはふつう~やわらかめで大きすぎなければ、自分が使いやすいものを使うのが良いと思います。 平均的には3~4週間での交換を目安にしてください。
c.歯ブラシの方法
歯磨きの方法は、歯並びや歯周病の状態、詰め物やかぶせものの状態によって一人ひとり異なってきます。
歯科医や歯科衛生士にアドバイスをもらい、自分に合った磨き方を身につけましょう。
歯ブラシのポイント
鏡を見て磨きましょう
歯ブラシのあたる感覚がしっかり把握できるようになるまでは、鏡を見ながら磨きましょう。
磨く順番を決めましょう
磨く順番を決めることで磨き忘れる場所を極力少なくしていきましょう。
歯肉がいたんでいたり、虫歯になりかけている場所を最初に磨くのもいいでしょう。
歯ブラシは鉛筆の持ち方で持ちましょう
鉛筆もちで軽く持つくらいが歯ブラシを持つには、ちょうどいいくらいの持ち方です。
細かく磨きましょう
歯ブラシは1本ずつ磨くイメージで細かく動かしましょう。 力も強く入れすぎてしまいがちなので強くなりすぎないようにしましょう。
歯ブラシの当て方について
歯の咬む面や側面
歯の咬む面や側面部に毛先をたてて磨きます。
歯と歯肉の境目
歯と歯肉の境目の歯肉溝という所は汚れがたまりやすい場所です。
毛先を45度にして磨きましょう。軽く細かく動かすのがコツです。
前歯の裏側や歯並びの悪い所
前歯の裏側や歯並びの悪いところなどの歯ブラシが当たりにくいところは、歯ブラシをたてるなどしましょう。
この際、歯ブラシの毛先の先端を用いて磨きましょう。
歯磨きの回数・時間について
歯磨きの技術や歯の残っている本数にもよりますが、全体的に歯が残っている場合にしっかり歯磨きをするためには目安として10分以上はかかると思ってください。そして食べたら磨くのが基本です。もちろん磨く回数が多ければ多いほど、時間は長ければ長いほど良いことです。
但し一日の中で最も大切な歯磨きは寝る前の歯磨きです。
朝や昼にどれだけしっかり磨いても夜寝る前の歯磨きをおろそかにしてしまっては元も子もありません。逆に朝や昼にしっかりできなくても夜寝る前にしっかり磨き切れていれば一日のフォローは効きます。 朝や昼は磨かなくていいわけではありませんが、夜寝る前の歯磨きは確実に時間をかけてしっかりと磨きましょう。
d.歯磨き粉・洗口剤について
歯磨き粉や洗口剤は数多くありCMでも効果を宣伝していますが、基本的にほとんど意味はありません。補助的な意味合いで使用するのは構いませんが、歯磨き粉や洗口剤の効果で劇的に歯垢が除去され歯磨きが良くなることはありません。 メディアは信用しないようにしましょう。歯磨きでは歯ブラシで歯垢をしっかりかきとることが最も大切かつ唯一の方法です。
e.補助道具について
歯磨きの補助道具として歯間ブラシとデンタルフロスが代表的です。これらは共に歯と歯の間をみがくためのものです。
歯と歯の間は通常の歯ブラシではどうしても磨ききれません。
そのため歯間ブラシやデンタルフロスを使用しましょう。
デンタルフロス
デンタルフロス
糸のみのタイプです。奥歯などは慣れるまでは難しいかもしれません。
価格的には一番お手ごろです。
ウルトラフロス
柄が付いたタイプです。扱いやすいというメリットがあります。
何回も洗って使うことができます。
~フロスの使用法~
デンタルフロスを左右の中指に2~3回巻きつけて人差し指でフロスを張ります。
ゆっくり動かしながら、歯と歯の間にいれていきます。
ゆっくりフロスを上下に動かし 両隣の歯の歯垢を掻き出しましょう。
歯並びなどにもよりますが、歯ブラシだけでは歯の表面積の6~8割程度しか磨けないと言われています。フロスを使わないと磨いていないところが存在するということです。最低でも1日1回夜寝る前はフロスを使いましょう。慣れるまでは難しく感じますが、継続していけば慣れて上手になっていきます。
歯間ブラシ
歯と歯と歯ぐきの隙間に直接入れて歯垢をかきとります。
~歯間ブラシの使用法~
歯間ブラシには様々なサイズがあり、まずはサイズを選ばなければなりません。
隙間の大きさは場所によって異なります。サイズ選びは歯間ブラシを使用する上で非常に大切です。
サイズが大きすぎると歯肉を傷つけることもありますし、小さすぎると効果があまりなくなってしまいます。
歯科医師や歯科衛生士に相談して自分に合ったサイズを選んでもらいましょう。
サイズの合った歯間ブラシを歯と歯の間の隙間にいれて内外に10~20回動かして歯垢を取り除きます。
使用後は、ブラシを水で洗い清潔な状態にして、乾燥させておきましょう。
毛がぼそぼそになったり、針金の部分が折れたりしなければ何度でも使用できます
3.食習慣
いくら歯磨きをしても食習慣のコントロールができていないと、虫歯のリスクが高くなります。以下のような食習慣をしている方は改善が必要です。
間食をよくする、ダラダラ食べる
虫歯のリスクを増大させるのは、間食の量ではなく回数です。
虫歯は、虫歯菌が糖を取り込むことによって産生する酸により、口腔内が酸性になることで生じます。
間食の回数が多いということは口腔内が酸性になる時間が増える結果になり、虫歯のリスクが高くなります。間食をする回数をひかえて、その後歯磨きをするようにしましょう。
また、ダラダラ飲食し、常に何か口の中に入っていると虫歯のリスクが高くなります。
あまり咬まずに食べる
よく咬むことで、食べ物と歯がこすれあい汚れをある程度取ってくれます。
また、よく咬むことで唾液の分泌を促進します。
唾液には汚れを洗い流してくれるだけでなく再石灰化を促進する作用があるため、虫歯のリスクを軽減します。
就寝前の飲食
寝ている間は唾液の分泌量が減少するため、虫歯のリスクが高くなります。
寝る前には必ず歯を磨くようにし、磨いた後の飲食は控えるようにしましょう。
夜の歯磨きが一日の歯磨きの中で最も大切です。
歯磨きした後、のどが渇いて何か飲むのであればお茶か水にしましょう。