日本人の給料が増えない理由

日本人の給与はバブル崩壊以降の30年間、上がりませんでした。これは、世界的に見ると異常なことです。

日本を除く世界各国の給与は、上がり続けているのです。日本だけが、取り残された一人負け状態なわけです。

以下のグラフは、世界各国における過去30年間の実質賃金の推移です。

1997年を100とすると2016年には

となっています。

日本はぶっちぎりの最下位で、かつ唯一100を切っています。つまり、日本のみが実質賃金が下がっているわけです。

日本人の給料は、上がらないどころか実質的には下がっているのです。世界中で、日本人だけがどんどん貧しくなっているということです。

この原因の最大のものとしては、政府が行い続けている「緊縮財政」があります。デフレ状態の日本では、財政拡大の積極財政を行わなければならないところを逆の緊縮財政をしているわけですから、貧しくなっていくのは当然です。

バケツに水が足りていないのですから、どんどん水を入れなくてはならないのに蛇口を閉めようとするわけですから、結果は明らかです。

しかし、原因はそれだけではありません。バケツに水がたまらない大きな理由は他にもあります。

それは、「バケツに穴が開いている」ということです。日本人が働いて稼いだお金が、日本人のものにならず奪われているのです。

日本企業は外資に支配されている

以下のグラフは、資本金10億円以上の日本大企業の売上高、利益、給与、配当金、設備投資などの推移を表した1997年から2017年までのグラフです。

1997年を100とすると2017年は

となっています。

売上はほとんど横ばいですが、設備投資と給料が減っているのに対して、経常利益と配当金が大きく増えています。特に配当金は、6倍近くになっています。

これは

ということに他なりません。

労働者が働いて稼いだお金が、資本家である株主に流れる仕組みに、日本の大企業はなってきているということです。

これこそが資本主義のルールでもあります。会社は株主のものであり、資本家に富が集中するのが資本主義です。少なくとも欧米の資本主義というのは、そのようなものです。

それに対して、日本は元々そのような概念ではありませんでした。会社は従業員やその家族のものであり、社会のためのものでした。

欧米の考え方とは違う、日本らしい「和」を重んじる考え方です。優劣はさておき、日本の歴史などを考えれば、日本人にとっては欧米の資本主義は合いません。

日本には日本の文化があるのです。

しかし、グローバル化の波により、日本も欧米の資本主義に飲み込まれているわけです。これが、日本人の給料が上がらない大きな理由の一つです。

働いて稼いでも、働いている本人ではなく、株主が潤う仕組みなのです。しかも設備投資を減らしているわけですから、売り上げが伸びていきにくくなっているわけです。

しかしそれでも、配当金などの株主還元が日本人の手に渡ればまだ良いのですが、事態はもっと深刻です。

日本の大企業の株は、すでに30％が外資の手に渡ってしまっています。つまり、配当などの株主還元の30％もが、日本の企業から外資に奪われているのです。

要するに

ということです。

そして、外資の割合は今後もどんどん増えていくことは確実です。このような状態ですから、日本人の給料が上がらないのは当然のことなのです。

さらに昨年の銀行法改正で、中小企業も外資が買い漁りやすい仕組みに変わりました。

元々は、銀行は非上場企業への出資割合の上限は5％だったのですが、銀行法の改正で100％まで可能になったのです。しかも、これには外資規制がありません。

つまり

ということになったのです。

当然、すでに外資の銀行は日本の中小企業を買い漁っています。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などで、中小企業を弱らせて、安く買いたたいているのです。

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、銀行法の改正など政府が行うことで、おいしい思いをするのは外資のみです。日本の政治家が、日本を守るのではなく売ろうとしていることは明らかです。

【ヤバすぎる！！】銀行法改正×中小企業再編×緊急事態宣言 「銀行法」という法律の改正が成立したことをご存じでしょうか。この改正により日本の中小企業が外資に乗っ取られ放題になる可能性が高くなってしまいます。なぜなら、この法律には外資規制がないのです。このままだと．．．．

先人たちの遺産を食いつぶす現代の日本人

それでも日本は、未だに世界第3位の経済大国です。平成の30年間デフレで経済が衰退したのにも拘らず、未だに世界第3位なのです。

※2021年の世界GDPランキング

すごいことではありますが、これは決して今の日本人が頑張っているからではありません。

今の日本人は、先人たちの遺産を食いつぶし続けているだけです。未だに世界第3位でいられるのは、先人たちが戦後の焼け野原から日本をすごいところまで押し上げたからに他なりません。

しかし、その遺産もどんどん減ってきてしまっています。今の日本人たちが食い潰しきってしまうのは、時間の問題です。

※2017年2月7日 プライスウォーターハウスクーパース調査結果

今や、「今だけ、金だけ、自分だけ」という人ばかりになってしまい、未来の日本のことを考える人が少なくなってしまったのです。日本はもう沈みかけた船なのです。

利己的になってしまっている日本人の本質 今の日本では、「自分さえよければいい」という利己的な考え方が蔓延しています。「今だけ、金だけ、自分だけ」というやつです。しかし日本人は本来的には、非常に利他的で民度の高い民族です。そのことは歴史を．．．．

まとめ

戦争を経験して、日本を守り続けてきてくれた世代が、もうほとんどいなくなってしまいました。その方々が、ギリギリのところで日本を守ってきてくれていたのですが、今は違います。

自分の利益のために、日本の未来の世代のことなど簡単に売り飛ばす連中ばかりが、政治を行っています。

そして、そのような政治家ばかりになったのは、国民が自分のことしか考えないからです。政治家のレベルは国民のレベルですからね。

この状況を脱するには、まず多くの国民が気付いて危機感を持つことが必要不可欠です。メディアなどは、完全に外資の狗ですから、信用していいはずがありません。

自分で調べて考えることが、絶対条件です。

しかし、自分で調べて考えれば、今の日本がおかしいことがすぐわかります。思考停止にならず、しっかり学んで考えなくてはなりません。