患者側の現状・問題

患者側の現状・問題

日本の国民皆保険制度は「奇跡の制度」と言えるほど恵まれています。

この制度のおかげで誰もがいつでも好きな時に好きな病院に安価で受診することができます。

最先端医療機器も充実していて救急車も無料です。

世界を見ても医療がこのように充実して恵まれている国はそうありません。

その結果、出生時死亡率は世界で二番目に低く平均寿命は世界一です。

1961年に定着したこの制度は日本人の健康を守り生活を安定させることで日本に幸福をもたらしてきたと言っても過言ではないと思います。

国民皆保険制度ができた頃は感染症などの急性疾患を高度な集中的な治療をすることで社会に戻ってもらうことが主体でしたが、現代は生活習慣病をはじめとする慢性疾患が主体になっています。

生活習慣病などの慢性疾患は高度な集中的な治療によって治るものではありません。

例えば高血圧や糖尿病は薬で一時的に血圧や血糖値を下げるだけであり、薬は飲み続ける必要があります。

病院で治療を行っても根本的に治るわけではないのです。

ここには制度の問題・医療従事者の問題もありますが、医療を受ける患者自身の問題も非常に大きくあります。

現在最も問題になっている生活習慣病を改善させるためには、基本的には病院に通うことではなく生活習慣を改善させる必要があります。

もちろんそれが全てではありませんが、日常的なセルフケアこそが慢性疾患を予防し改善するための最良の行為であり、そして必要不可欠なものです。

「健康を維持する」「病気にならない」という医療の本質を実践するためには、各々がセルフケアを行い自律し自立することが重要なのです。

しかし現実は依存・利己主義といったものがはびこっている状況だと思います。

病気になったら病院へ行けば医者が治してくれる。

病気を治すことが医者の役目であり病気になることは自分の権利、といったところでしょうか。

そしてその状態になったのが自分の生活習慣の悪さによるものであることを棚に上げて、不可能な要求をあたかも当然の権利のようにする。 恩恵ともいえる国民皆保険制度をいつしか「権利」として捉え、自律・自立に取り組むこともせず病院に依存している人が多いのです。

責任の重さ

しかし、意識を持った人たちが増えてきていることも喜ばしい事実です。

意識をもって自分の健康は自分で守るべくセルフケアに取り組んでいる人も増えているように思います。

この意識を広め、自分自身で、そして地域全体で医療を実現する本質的な医療へシフトチェンジしていく必要があります。

自分の健康は与えられるものではなく、自分で守るものであること。

病気にならず健康を維持することで人生を豊かにするには、日々の生活習慣こそが予防であり最も重要であること。

これらをしっかり理解して実践することができる人が一人でも多くなってほしいと思います。