現在の日本の医療保険制度は「国民皆保険制度」という制度を採用しています。 まずこの制度を正しく理解する必要があります。
国民皆保険制度とは
国民全員が何らかの公的医療保険に加入している医療制度です。
それぞれの人は社会保険、国民健康保険、共済組合などその人の立場(職業など)に応じた
公的医療保険の組合に加入し保険料を支払います。
社会保険や共済組合などはその加入者の雇い主である事業者が保険料を半分負担しています。
このようにして国民全員と事業者が保険料を支払うことで組合に財源ができます。
この保険料は税金のように思われている方もいるかもしれませんが、税金とは明確に
異なり医療費にのみ使われるお金となります。
こうして集めた保険料を、医療を受けた人に分配するという制度が「国民皆保険制度」です。
つまりみんなでお金を出し合って集めたお金を、必要な人の医療に使うという、いわば「助け合い」の制度といえます。
具体的な例を挙げますと、負担割合3割の人が病院を受診し10000円かかったとします。
負担割合は3割なので病院の窓口で支払う額は3000円となります。
病院は残りの7000円を組合に請求し、組合は国民全員と事業者から集めた財源から
7000円を病院に支払うという流れになります。 窓口の負担割合は年齢や収入などに応じて決まります。現状は負担なし、1割、2割、3割があります。
国民皆保険制度のメリット・恩恵
日本の国民皆保険制度は世界的に見ても非常に評価が高く、恵まれた制度です。
「奇跡の制度」とも言われています。
世界にはアメリカのように皆保険制度が存在しない国もあります。
このような皆保険制度のない国では各々が民間保険に入るのですが、保険料は非常に高額で経済的に余裕のない人たちは加入できず無保険の人もいます。
アメリカでは6人に1人が無保険といわれています。
無保険だと医療機関を受診するとかなりの高額の費用がかかってしまいます。
結果として必要な医療を受けられずに苦しんでいる人がたくさんいます。
日本は国民皆保険制度の恩恵で、誰もが安い費用でどの医療機関にも自由に受診することができます。
行きたいときに好きな病院にいけるというのは、世界的に見て非常に珍しいです。
福祉の充実した北欧やイギリス、カナダなどの国でさえも病院は選べません。
最初からかかりつけ医が決まっており、かかりつけ医の診察を受けたうえで必要であれば専門医に紹介されるような流れです。
かかりつけ医を経由せずに、かかりつけ医以外を受診する場合は全額自己負担であったり、そのかかりつけ医も完全予約制なので体調悪いからといってふらっと病院に行っても診てもらえないことが多いようです。
救急車が完全無料なのも日本だけです。無料の国もありますが条件付き無料となっており、
緊急性の低い要請などには罰金がかかります。救急車を完全無料で呼べるのは日本が唯一です。
ちなみに救急車は日本では約5秒に1回出動しており、出動回数は増加の一途です。
救急車が一回出動するごとにかかるコストは約45000円と概算されています。
入院に関しても日本の人口当たりの病床数は二位に大差をつけての一位です。
日本ほどスムーズに入院できる国は珍しく、他の国では病床の空き待ちは珍しくありません。
またCT,MRIといった医療機器の人口当たりの数も二位に二倍近い差をつけて日本が世界一です。
このように日本の医療体制は非常に恵まれています。
この恵まれた医療体制を支えているのが「奇跡の制度」とも言われる日本の国民皆保険なのです。 このような「恩恵」ともいえる制度のお陰で日本は誰もが高度な医療を手軽に受けることができるようになり、世界一長寿で、出生時死亡率も世界で二番目に低い恵まれた国となったのです。